戸建て住宅団地の場合、各戸それぞれが日当たりを良くするために、原則として、住宅からの出入りをする玄関前の道路は、東西方向(しかも、20~40度程度の傾きが望ましい)の区画街路として計画します。 そして、そこで発生する自動車交通を通過させる地区準幹線道路(原則幅員12m以上)は、南北の道路(幅員3m以上の歩道付き)となります。 さらに、大規模な住宅団地では、東西の端の地区準幹線道路に囲まれた住宅エリアの真ん中に、車が通過する事のない、南北方向の歩行者専用道路を計画します。(ちなみに、蒔絵台の場合は、この歩行者専用道路の幅員は11mで、両側の区画街路6mと合わせると、23m幅の広い南北の帯状の空間になっています。) このように、【通過交通のない戸建て住宅に挟まれた東西方向の区画街路(幅員6m)】は、その南北両側に玄関を有する宅地の住民にとって、朝夕のご近所さんとの挨拶の場であり、《住民交流の広場》と言う位置づけとなり、《自分家を含めた仲の良いおうちの子ども達の最も身近な遊び場》となります。 朝出かけて、夕方帰宅する各戸のマイカーは、毎日の様に、一往復する事になりますが、顔見知りの地域の子供達が遊んでいる広場を、子供達に声をかけながら、注意深く、通過する事になります。 それは、知らない子供達で有れば、うっとうしいし、腹も立ちますが、地域の顔見知りの子供達となれば、話は別です。うっとうしいどころか、『誰誰ちゃん処のおじちゃん、行ってらっしゃい。』なんて、交流が生まれ、お互いに、思わず笑顔がこぼれたりします。 【通過交通のない戸建て住宅に挟まれた東西方向の区画街路(幅員6m)】は、このように使われるのですから、中途半端な、歩車道区分は、通る車のスピードを誘発し、歩行者の気持ちのゆるみも誘発して、返って、危険な場所となる可能性が高いのです。 ですから、地区住民相互の交流を大切にする当該地区においては、中途半端な輔車分離は行いません。 まして、生活感が露骨に垣間見える戸建て住宅の裏手を、歩行者用の専用通路(歩経路と呼んだりもします)にしたりすることは、住民は、誰も望みません。